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田川基成「HOKKAIDO」@新宿ニコンサロン

  • 2月4日
  • 読了時間: 4分

 

 


必殺とんぼ返りで初日に伺いました。

 

現在、新宿ニコンサロンで開催中の田川基成写真展「HOKKAIDO」。

 

田川さんは2022年に当ギャラリーにて「見果てぬ海」という写真集から作品を抜粋した「海の記憶」という写真展を開催。トークショーもしてくださいました。その頃、あと3年くらいで北海道を撮っている作品を写真集に纏めたいと話されていたのを覚えています。(この展示にまとめた作品は北海道を10年かけて撮影されたものだそうです。)

 

あの写真展をご覧くださったお客様には今回の展示も観て頂きたいなぁと切に願ってしまう素敵な展示と新作写真集のお披露目でした。

(写真集購入してありますので、ご覧になりたい方はお声がけください!


展示詳細

 

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ここから先は自分のための備忘録。

(感想というよりあくまで個人的なメモのようなものです)

ちょっと長くなるので、写真好きな方だけどうぞ笑。

 

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田川さんは今回も変わらずマキナ67の中判フィルムカメラで撮影。

 

今までは展示会場で作家さんと話す時、あまりカメラの機種についてはそこまで話題にせず、なんとなく聞く程度だった。

 

今回は作品についてお話を聞かせて頂いているうちに自然とカメラの機種の話になった。

 

同じフィルムカメラでも大判のバイテンでもシノゴでもない。

身軽に持ち歩ける軽量な35mmでもない。

中判のフォーマットで手持ちで撮影ができるマキナ67。

 

 

「フォーマットが大きくなるバイテンやシノゴだと被写体と自分との距離感は離れていくように感じ、客観的に写る気がする。

(写真が外部になるという表現をされていたような・・)

逆に35mmだと被写体との距離感はもっと近くなり、よりエモーショナルに写る。

その点、中判カメラはその間が写る気がする。」


※おしゃべりの中で覚えている感覚で書いているのでちょっと私の表現も入っています。

 

 

私は写真作品を鑑賞する時、そこに自己を投影し、自分と撮影者や被写体とのつながりを作品の中に重ねてみたくなり、それらを探しながらその行為を楽しんでいることが多々ある。

 

田川さんの作品は被写体との絶妙な距離感がある。

それは前作の「見果てぬ海」から感じている距離感。

 

田川さんの作品を鑑賞していくうちに、自分の経験や感覚の重なりを探すような鑑賞の仕方ではなく、もっと客観的に冷静に“そこにただある風景”に没入していく自分に気づく。

 

 

今作はタイトル通り、北海道で撮影された写真群。

出会った風景や人物を写真にした時にプリントや言葉・展示構成などで作家の意図を誇張したりはしていない。

いわゆる、“ザ・北海道”的なフォトジェニックを追求したものではない。

 

写すという行為に対しての絶妙な距離感(彼の中の境界線)により、写真を観る側は、そこに住む人や土地のことをただただダイレクトに受け入れるという行為に徹底できる気がする。

 

すなわち、作家独自の演出に誇張されすぎていない素に近い風景を堪能できる。

 

その一貫した距離感から感じられる今作の北海道各所の写真は、

「ただそこにある風景」なのだ。

だから鑑賞者の私が「私」と作品を重ねるという鑑賞の仕方は必要なくなって、もっとシンプルに写真そのものに没入したくなってしまった。

 

しかし、拾い集めて作品にしている(撮影している)のは田川さん独自の感覚であり、彼の中の境界線探知機がとても有効に作品の中で働いている。

だからこそ、田川さんにしか撮れない作品なのだとつくづく感心してしまった。

 

 

今回のカメラの機種の話も然り。

自分の中の境界線(被写体との距離感)を守るための表現に必要な機種を使用している。

 

写真家は一枚の写真、一つの個展、一冊の写真集を魔法のようにぱっと創り上げられるわけではなく、それぞれの行為の裏には想像を超える枚数の撮影とプリント、セレクション、作品と自己の間での自問自答があると思う。

 

 

田川さんはそれら一つ一つを丁寧に積み重ねて作品を制作されているのだ。


それが伝わってくる素敵な展覧会でした。

 

 

 
 
 

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